EVERGREEN - エバーグリーン

← AI作成記事一覧

「秋桜」なのに、6月から咲くコスモスがあるのはなぜ?
— 花に季節を知らせていたのは「日の長さ」だった —

公開

秋の野を代表する花といえばコスモス、学名 Cosmos bipinnatus。漢字で「秋桜」と書くほど秋のイメージが強い花だが、図鑑の「花咲く季節」欄を開くと、並んでいるのは6月から11月まで。エバーグリーンのQ&Aにも、6月末や7月に撮られた花の写真がコスモスと同定された投稿がある。秋の花のはずが、なぜ初夏から咲くのか。手がかりは「早咲き」と「遅咲き」という2つの系統、そしてコスモスがもともと花を咲かせる合図にしていた日の長さにある。

細かく切れ込んだ緑の葉を背景に、淡いピンク色のコスモスの花が1輪咲き、上につぼみが1つ見える
コスモス Cosmos bipinnatus。花の上には、次に咲くつぼみも見える / 写真:エバーグリーン植物図鑑

早咲きと遅咲き、2つの系統がある

図鑑の「名前」欄には、コスモスのほかにアキザクラ(秋桜)、オオハルシャギク(大春車菊)、そして英名の garden cosmos(庭のコスモス)、Mexican aster(メキシコのアスター)が並ぶ。エバーグリーンの編集記事「花めぐり7月号」も「和名は秋桜(あきざくら)といい」と書いており、「秋桜」はコスモスそのものの呼び名だ。一方で、図鑑の「基本情報」欄を読むと、同じコスモスのなかに性質の違う系統があることもわかる。

図鑑によれば、コスモスの園芸品種には早咲き系と遅咲き系の2系統があり、そのうち遅咲き系をとくに「秋桜(アキザクラ)」と呼ぶこともあるという。それぞれの系統がいつ咲くのかは、図鑑にも編集記事にも書かれていない。そこで東京都大田区が公開している「コスモス育て方マニュアル」を見ると、秋咲きのタイプは10月以降に咲く性質をもち、種まきは梅雨明け後がすすめられている。一方、早咲きのタイプは種まきから2~3か月で花芽をつけるという。系統によって咲く時期がずれることが、図鑑の花期が6月から11月までと長い理由の一つといえそうだ。

実際、エバーグリーンのQ&Aに寄せられた、花の名前を尋ねる投稿には、「6月末頃撮影」(質問#3873)や、7月の滋賀県の花壇で撮影されたもの(質問#16203)があり、どちらもコスモスと同定されている。

もとは「日の長さ」が合図だった

では、コスモスは何を合図に咲いていたのか。前出の編集記事「花めぐり7月号」は、コスモスとその近縁種キバナコスモスについて、「どちらも本来は日長が短くなったのを感じて花を咲かせる短日植物でしたが、最近では日長に影響されずに開花する品種が多くなりました」と説明している。

「日長(にっちょう)」とは一日のうちの昼の長さのこと。「短日植物」は、同記事の言葉どおり、昼が短くなったのを感じ取って花を咲かせる植物のこと。もともとのコスモスは、この性質をもつ花だった。ところが今では、昼の長さに左右されずに開花する品種が多くなった。前出の大田区「コスモス育て方マニュアル」も、早咲き種を「長日下でも開花するように改良された」コスモスと説明し、代表的な品種に「センセーション」を挙げている。これに対して秋咲き種は、日が短くなると花芽をつけるタイプだ。同マニュアルによれば、コスモスはもともと1日の夜の長さが11時間以上にならないと花芽をつくらない性質をもっている。昼の長い季節でも花芽をつける早咲き種があり、しかも今はそちらが主流だと同マニュアルは書いている。秋の花のはずのコスモスが初夏から咲いている理由の一つは、ここにある。「花めぐり7月号」は、タネをまく時期を調整することで、多様なアレンジを楽しめるとも書いている。

種まきの時期については、エバーグリーンの編集記事「秋の桜と書いてコスモス」が、早咲きの品種は春まき、遅咲きの品種は夏まきと記している。図鑑の「植え付け(または播種)季節」欄も3月から7月までと幅が広い。品種とまく時期の選び方しだいで、楽しみ方の幅が広がる花なのだ。

名前は「美しい」、生まれはメキシコ

「コスモス」という名そのものについて、図鑑の「備考」欄は、ギリシャ語で「美しい」という意味の kosmos が語源だと記す。図鑑の「分布または原産地」欄にある原産地はメキシコ。英名の Mexican aster にも「メキシコ」の名が入っている。

前出の編集記事「秋の桜と書いてコスモス」によれば、コスモスはメキシコからスペインに渡り、マドリード王立植物園で名づけられた。日本にやってきたのは明治の初めだという。メキシコの花がヨーロッパで名を得て、やがて日本で「秋桜」という和名をもらったことになる。

糸のような葉と、8枚の花びら

図鑑の「基本情報」欄によれば、コスモスは一年草で、大きいものでは高さ2mほどにもなる。茎はよく枝分かれする。葉は対生(茎の同じ位置から2枚が向かい合ってつくこと)し、羽状に細かく切れ込んで、裂片はほぼ糸状になる。

花のない時期のコスモス。糸のように細かく裂けた明るい緑色の葉が一面に茂っている
花が咲く前のコスモスの茂み。細かく裂けた葉がふわふわと重なる(Q&A 質問#7869 の投稿写真)

この葉だけの姿は、コスモスだと気づきにくいらしい。6月に大阪府高槻市で撮影された写真には、投稿者が「水草の様ですが草名を教えて下さい」と書き添えていた(質問#7869)。これもコスモスと同定されている。糸のように細い葉が密に茂るさまは、たしかに水中でゆらぐ藻のようにも見える。

花は茎の先に1輪ずつつき(単生)、直径は6〜10cmほど。1輪の花に見えるが、実は小さな花の集まりだ。花びら1枚に見えるものがそれぞれ1つの舌状花(ぜつじょうか)、中心の黄色い粒の一つひとつが筒状花(とうじょうか)という小さな花である。図鑑によれば舌状花はふつう8個。身近なコスモスで花びらを数えてみるのも楽しい。

スポンサーリンク

黄色も八重も、みなコスモス

図鑑によれば、コスモスには多くの園芸品種があり、舌状花の色は白、黄、橙、桃、紅色と多彩。変わった花形のものや、背丈の低い矮性(わいせい)のものもある。図鑑の「花の色」欄には、白、黄白、黄、橙、桃、赤の6色が挙がっている。

細い葉を背景に、淡いクリームイエローの花びらを持つコスモスが1輪咲いている
淡い黄色のコスモス(Q&A 質問#11041)
花びらが幾重にも重なり、縁が濃い赤紫で内側が白っぽいピンクのコスモスの花
花びらが重なり、縁の色が濃いコスモス(Q&A 質問#1296)

黄色い花を見ると、ついコスモスとは別の花だと思いたくなる。編集記事「花めぐり7月号」によれば、黄色やオレンジの花を咲かせるキバナコスモスや、カカオのような甘い香りが漂うチョコレートコスモスは、コスモスの近縁種だ。キバナコスモスは耐暑性に優れ、盛夏でもよく咲くという。けれども、黄色だからといってキバナコスモスとは限らない。大阪駅ノースゲートビルで撮影された黄色い花(質問#11041)は、コスモスと同定されている。

花の形もさまざまだ。愛知県新城市の「コスモスの小径」で撮られ、投稿者が「新しい品種のようですが」と首をかしげた花(質問#1296)も、「八重咲きのコスモスだと思うのですが合っていますか?」と尋ねられた花(質問#16203)も、いずれもコスモスと同定された。

「花めぐり7月号」が、花弁が貝殻のように筒状になると紹介するシーシェルも、Q&Aで「開き具合や角度によって分かりづらい」と名前を尋ねられたことがある(質問#1171)。専門家の答えは、コスモスの「花びらが貝殻(Shell)のように筒状に巻くシーシェルという品種」。投稿者も「またひとつ変わった花を見つけた」と思っていたという。これだけ色も形も幅があれば、名前を尋ねたくなるのも無理はない。

台風に倒れやすい茎を、どう支えるか

図鑑の「草丈・樹高」欄によれば、コスモスの高さは40cmから2mまで。背が高くなるぶん、弱点もある。編集記事「秋の桜と書いてコスモス」は、コスモスの咲く時期の悩みとして台風を挙げ、細い茎が強い風にあおられて折れたり、地面にべったりはってしまったりすると書く。草丈が高いほど傷みやすいので、低く育てるのがポイントだという。

土手に背の高いコスモスが茂り、細い茎が何本も立ち上がって、ところどころにピンクの花が咲いている
土手で背高く茂ったコスモス。細い茎がひょろりと伸びる(Q&A 質問#1124 の投稿写真)

そのための工夫として同記事が勧めるのが、種まきをできるだけ遅くすることだ。まく時期が遅いほど、草丈を低く育てられる。早咲き系なら春、遅咲き系なら夏という適期のなかで、季節ぎりぎりまで遅らせるのがコツだという。

もう一つの工夫がネット。別の編集記事「立て! 立つんだ、植物!」は、つる植物の誘引に使う蔓物ネットを、垂らすのではなく地面と水平に張る方法を紹介している。苗を植えたあと、植える場所の四隅に支柱を立て、植物の草丈よりも低めの高さにネットを張る。植物はネットのマス目を抜けて伸び、花の見頃にはネットより高く育つ。強い風が吹いても、ネットが支えになって根元から倒れたり、花首が折れたりするのを防いでくれる。ネットの色は、花壇に溶け込みやすい緑色がよいそうだ。

育て方のポイント

図鑑の「栽培」欄によれば、コスモスの増やし方は実生(みしょう)——つまりタネから育てる方法——と挿し木。栽培は容易で、日当たりと排水のよい場所であればどこでも育つとある。「日照条件」欄は日向、「水分の必要性」欄は普通。「種苗の入手難易度」欄は「低」で、タネも苗も手に入れやすい。「用途適性」欄には、鉢植、花壇、切花、公園・庭園、水田緑化、コンテナ、ベランダが挙がっている。

気をつけたいのは、「病害」欄のうどんこ病と苗立枯病、「虫害」欄のアブラムシとハダニだ。

花の季節はこれから11月まで続く。今年の花を楽しんだら、次の年の準備もできる。編集記事「秋の桜と書いてコスモス」は、コスモスの種子は採取しやすいので、好きな色のコスモスを選んで来年用の種子を保管してみてほしいと勧めている。気に入った一輪を見つけたら、その花のタネを来年の春や夏にまいてみるのも楽しい。

スポンサーリンク

→ 図鑑で「コスモス」の詳細を見る

← AI作成記事一覧