ガマズミとオオカメノキ(ムシカリ)の違いと見分け方
—よく似た白い花と赤い実—
山地で白い小花を咲かせ、秋に赤い実をつけるガマズミとオオカメノキ(別名:ムシカリ)。どちらもレンプクソウ科ガマズミ属で、名前も姿も紛らわしい木です。エバーグリーンの植物図鑑・編集記事に、国土交通省の植生図鑑などを合わせて、見分けの決め手を整理します。
まず名前を整理(ムシカリ=オオカメノキ)
「ムシカリ」と「オオカメノキ」は、同じ一本の木の別名です。検索では別々の名前で引かれがちですが、指しているものは同じ。いっぽうガマズミは別の種で、両者はどちらもレンプクソウ科ガマズミ属の仲間になります。名前の由来はエバーグリーンの観察記事が説明しています。
「オオカメノキ」は葉の形が亀の甲羅に似ていることから、また「ムシカリ」は葉がよく虫に食われることから名が付いたとされます。 — エバーグリーンポスト「[オオカメノキ]亀の甲羅に似た葉を持つオオカメノキ」
花で見分ける(春〜初夏、いちばんはっきり)
花の時期なら、いちばん分かりやすい違いが出ます。オオカメノキは、花のかたまりの周りに大きな白い「装飾花(飾り花)」をめぐらせます。中心の小さな花を、額縁のように囲む仕掛けです。
中央にかたまった白色の小さな両性花群と、その周りの大きな装飾花(直径は約3cm)で形作られています。 — エバーグリーンポスト「亀の甲羅に似た葉を持つオオカメノキ」
いっぽうガマズミの花序には、この装飾花がありません。径5〜8mmほどの小さな白い花が一様に集まって咲きます(エバーグリーン植物図鑑)。「まわりに大きな飾り花があるか、ないか」——これが花期のいちばんの決め手です。
ただし注意があります。装飾花をもつのはオオカメノキだけではありません。ヤブデマリ・カンボク・オオデマリなど、同じガマズミ属の近縁種にも装飾花がありますので、「飾り花があればオオカメノキ」と早合点はできません。参考までに、国土交通省の六甲山系植生電子図鑑は、オオカメノキの飾り花は5枚に分かれて見えるのに対し、ヤブデマリは4枚に分かれて見える、と区別しています。
実で見分ける(秋)
花のない季節は、実の「色の変化」が手がかりになります。ガマズミの実は赤いまま熟します(甘酸っぱく、霜が降りる頃には白い粉をふいて甘くなり、食べられます)。オオカメノキの実は、はじめ赤く、のちに黒く熟します。
果実は成長すると長さ7~10mmの広楕円形になりますが……はじめは赤くなりその後黒く熟します。赤い実は鳥たちが好んで食べます。 — エバーグリーンポスト「亀の甲羅に似た葉を持つオオカメノキ」
つまり、秋に赤いまま残っていればガマズミ、赤から黒へ変わっていればオオカメノキ。同記事は、黒く熟したオオカメノキの実を「干し柿の味に似ている」と紹介しています。
葉で見分ける
葉も、慣れれば有力な手がかりです。オオカメノキの葉は大きく(長さ6〜20cm)、表面の脈がへこんでしわ状になり(これが「亀の甲羅」の名の由来)、縁は重鋸歯(ぎざぎざが二重)、若い枝や葉には星状毛がはえます(エバーグリーン植物図鑑)。ガマズミの葉は倒卵形〜円形(5〜14cm)で、縁は不揃いの鋸歯、側脈はほぼまっすぐで、両面に毛があります。
決め手になりやすいのが葉の付け根(おしり)の形です。国土交通省の六甲山系植生電子図鑑は、こう記しています。
ガマズミの葉のおしりは円く、オオカメノキのようにハート形にへこみません。 — 国土交通省 近畿地方整備局「六甲山系植生電子図鑑・オオカメノキ」
春先の若葉の色でも見分けられます。あきた森づくり活動サポートセンターによれば、ガマズミの若葉は黄緑色、オオカメノキの若葉は茶色とのこと。芽吹きの季節の目印になります。
生える場所
環境も参考になります。ガマズミは丘陵地や山地の明るい林内・林縁に生える高さ2〜5mの落葉低木。オオカメノキはブナ林や亜高山帯の針葉樹林に生える高さ6mほどの落葉小高木で、より標高の高い涼しい山で出会います(エバーグリーン植物図鑑)。
早見表
| 見分けの決め手 | ガマズミ | オオカメノキ(ムシカリ) |
|---|---|---|
| 花(春〜初夏) | 装飾花はなく、小花が一様に集まる | まわりに大きな白い装飾花(約3cm) |
| 実(秋) | 赤いまま熟す | 赤 → 黒へ熟す |
| 葉の付け根 | 円い | ハート形にへこむ |
| 葉 | 倒卵〜円形(5〜14cm)、不揃いの鋸歯 | 大きく(6〜20cm)しわ状、重鋸歯、星状毛 |
| 若葉の色 | 黄緑色 | 茶色 |
| 樹形・場所 | 低木(2〜5m)、丘陵〜山地 | 小高木(6m)、ブナ林・亜高山帯 |
まとめると、まわりに大きな飾り花があればオオカメノキ。秋に実が赤いままならガマズミ、黒くなればオオカメノキ。葉の付け根がハート形にへこめばオオカメノキ。この3点で、たいてい見分けられます。
もっと詳しくは
→ エバーグリーンポスト「亀の甲羅に似た葉を持つオオカメノキ」
→ 図鑑で「ガマズミ」「オオカメノキ」を見る
参考資料
- エバーグリーン植物図鑑「ガマズミ」https://love-evergreen.com/zukan/plant/15144.html
- エバーグリーン植物図鑑「オオカメノキ」https://love-evergreen.com/zukan/plant/15158.html
- エバーグリーンポスト「[オオカメノキ]亀の甲羅に似た葉を持つオオカメノキ」https://love-evergreen.com/evergreenpost/post/13820
- 国土交通省 近畿地方整備局 六甲砂防事務所「六甲山系植生電子図鑑・オオカメノキ」https://www.kkr.mlit.go.jp/rokko/rokko/vegetation/sp/196/index.html
- あきた森づくり活動サポートセンター「樹木シリーズ45 ガマズミ、ミヤマガマズミ」https://www.forest-akita.jp/data/2017-jumoku/45-gamazumi/gamazumi.html



