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メキシコ生まれの花の王者
—ダリア、「天竺牡丹」として日本へ—

夏から秋、花壇を圧倒する大輪——ダリア(キク科ダリア属)が盛期を迎えます。原産はメキシコからコロンビアにかけての山地。花径は極小輪の2〜3cmから巨大輪の26cm超まで、花形も花色も数えきれないほどの園芸品種を擁します。日本には1842年頃にオランダ船が持ち込み、「天竺牡丹」として珍重された歴史があります。

ダリアの花
ダリア(Dahlia 属) / 写真: エバーグリーン植物図鑑

植物としてのダリア

エバーグリーン植物図鑑の登録情報によれば、ダリアは地下に塊根をもち、多くが直立する多年草です。茎の基部は木質化し、葉は対生または輪生して1〜3回奇数羽状複葉になります。花は長い花茎の先につきます。ときにつる性や着生するものもあるとのこと。草丈は品種によって30cmほどから6mに達するものまで幅があります。

花径のスケールもひときわ大きく、極小輪では2〜3cm、巨大輪では26cm以上。花形や花色の違う多くの園芸品種があり、鉢植、花壇、切花、公園・庭園、コンテナ、ベランダ、ハンギングバスケットと、用途の幅も際立っています。開花期は7〜10月。

専門家も「様々な品種がある」と言い切る多様性

エバーグリーンのQ&Aコーナーでは、「これは何の花ですか?」という問いに専門家が繰り返し「ダリアです」と答えつつ、必ずと言ってよいほど品種の多様性に言及しています。

ダリアです。様々な色や形の品種があります。 — エバーグリーンQ&A 専門家回答(2020年12月、質問#18434
ダリアです。ダリアも様々な品種があります。 — エバーグリーンQ&A 専門家回答(2020年11月、質問#18217

「ダリアです」の一言で終わらず、わざわざ品種の多さを付け加えずにはいられない——それだけダリアの多様性は際立っているということでしょう。矮性品種についても専門家はこう答えています。

矮性のダリアですね。 — エバーグリーンQ&A 専門家回答(2021年3月、質問#19146

学名 Dahlia の由来——植物学者ダールへの献名

属名 Dahlia は、スウェーデンの博物学者 アンデシュ・ダール(Anders Dahl) にちなむ名です。イギリスのキュー王立植物園(Royal Botanic Gardens, Kew)によれば、マドリード王立植物園長のアントニオ・ホセ・カヴァニリェスが1791年に、このダールを記念して命名しました。

The Dahlia was named after naturalist Anders Dahl by Antonio Jose Cavanilles, Director of the Royal Gardens of Madrid, in 1791. — キュー王立植物園(RBG Kew)「Dahlia

アステカの食用作物から欧州へ、そして「天竺牡丹」として日本へ

ダリアの故郷はメキシコからコロンビアにかけての山地で、メキシコの国花でもあります。キュー王立植物園によれば、もともとアステカの人々がでんぷん質の塊根を食用作物として栽培しており、18世紀にスペイン人によって欧州へ持ち帰られました。

Originally grown by the Aztecs as a food crop for their starchy root tubers, the dahlia was later transported back to Europe by Spanish colonists in the 18th century. — キュー王立植物園(RBG Kew)「Dahlia

アステカの言葉ナワトル語では acocoxochitl(「水道管の花」) と呼ばれました。中空のコダチダリア(Dahlia imperialis)の茎を水を通す管に使ったことに由来する名だといいます(キュー王立植物園)。

日本へは1842年頃にオランダ船によって伝えられ、「天竺牡丹」として珍重されました。本格的な導入は1877年(明治10年)以降です(エバーグリーン植物図鑑「来歴」欄)。牡丹のように豪華な舶来の花、というニュアンスを込めた呼び名でした。

品種分類——花形で読み解くダリアの世界

キュー王立植物園によれば、ダリアの原種は42種ほどですが、園芸品種は57,000種以上が登録されており、その国際的な品種登録は英国王立園芸協会(RHS)が担っています。花形によって大きく14タイプに分類され、シングル咲き・ポンポン咲き・カクタス咲きなどが含まれます。代表的な咲き方を挙げると次の通りです。

花形グループ 特徴
シングル咲き(Single) 外側に花弁1列、中心に筒状花が見える
アネモネ咲き(Anemone) 外弁1列+中心部が管状花で盛り上がる
ボール咲き(Ball) 球形に近く、花弁が巻いて整然と並ぶ
デコラティブ咲き(Decorative) 花弁が平らで多数重なる豪華な大輪
カクタス咲き(Cactus) 花弁が細く尖り、外向きに反る
ポンポン咲き(Pompon) ボールより小型で花弁がより細かく整列

より詳しい分類は、品種登録を担うRHSや、英国ダリア協会(National Dahlia Society)の分類ガイドで確認できます。

栽培のポイント

エバーグリーン植物図鑑の栽培情報によれば、ダリアは日当たりがよく水はけのよい場所を好みます。増殖は塊根・挿し芽・実生により、系統によって仕立て方が異なる点は注意が必要です。

英国王立園芸協会(RHS)の栽培ガイドによれば、ダリアは耐寒性がなく霜に弱いため、寒冷地では秋の初霜で地上部が傷んだ頃に塊根を掘り上げ、霜の当たらない涼しい場所で保管して冬越しさせます(温暖な地域では戸外で冬を越すこともあります)。また、草丈が大きくなる品種は支柱で支える必要があります。逆に、矮性品種はコンテナやハンギングバスケットにも向くことが図鑑の用途適性欄にも明記されています。

同属の仲間——コダチダリア(皇帝ダリア)

同じダリア属の仲間として、エバーグリーン図鑑にはコダチダリアが登録されています。草丈6〜9mに達し、11〜12月に紫・桃・白の花を咲かせる晩秋の巨人で、「皇帝ダリア」の名で広く知られています。

コダチダリアです。皇帝ダリアとも呼ばれます。 — エバーグリーンQ&A 専門家回答(2020年12月、質問#18451

エバーグリーンポストの記事「朕はダリアである〜皇帝ダリア」は、この巨人をこう描いています。「皇帝」は学名 Dahlia imperialis の訳で、和名コダチダリア(木立)は、四角く膨れた節のある茎が木化して大きく育つことにちなみます。中空の幹は脆く折れやすい一方、折れてもすぐ次の芽を出して秋まで猛烈に伸び、一重で薄ピンクの掌大の花を下向きに咲かせます。

中空の幹なので脆く折れやすい……たとえ折れたとしても、あっという間に次の芽を出し秋になっても凄まじいスピードで伸びていく。 — エバーグリーンポスト「朕はダリアである〜皇帝ダリア

先に触れた、アステカがダリアの中空の茎を「水道管」に使い acocoxochitl と呼んだ話とも響き合う特徴です。ダリア(7〜10月咲き)とコダチダリア(11〜12月咲き)は開花期が異なり、夏から冬まで「ダリア属の季節」がリレーするかたちになっています。

→ 図鑑で「ダリア」の詳細を見る
https://love-evergreen.com/zukan/plant/15778.html

参考資料

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