植物図鑑
ミヤマザクラ
サクラ属
ミヤマザクラ
学名:
Cerasus maximowiczii
〔基本情報〕高さ20mになる落葉高木。
亜高山帯の樹林~林縁のほか、蛇紋岩地帯や石灰岩地にもみられます。
幹は紫褐色で、横並びの長い皮目がめだちます。
1年目の枝にはやや密に毛がはえます。
葉は長さ4~7cm、幅2.8~4.5cmの倒卵状長楕円形で、先端は尾状にとがり、基部は広いくさび形~切形で2個の蜜腺があります。
葉の両面には伏した毛がやや密にはえます。
葉柄は長さ1~1.5cmで褐色の伏した毛が密にはえます。
葉の縁には先が腺で終わる鋭い重鋸歯があります。
葉が完全に展開してから開花します。
花は葉腋につく総状~散房花序に4~10個つき、白色の5弁花で径0.6~2cmです。
花弁は長さ6~8mmで先がまるい広楕円形、先端は切れ込みません。
雄しべは34~38個ほどで花柱とほぼ同じ長さです。
萼筒は長さ3.5mmの鐘形、萼裂片は長さ2.5~3mmの長楕円形で縁に鋸歯があります。
花序の軸には褐色の毛が密にはえ、長さ7mmの苞葉がつき、果期にも残ります。
苞葉の縁には細かい歯牙があります。
小花柄は1~2.2cmで、褐色の毛が密にはえます。
果実は径9mmの球形で紅紫色~黒紫色に熟し、果肉は苦いです。
果柄には褐色の毛がはえます。
〔栽培〕増殖は実生、挿し木、接ぎ木によります。
日当たりと水はけがよい場所を好みます。
庭植えで大木になって困る場合は、木の大きさをコントロールするため、布ポットで根が張るスペースを抑制するとよいです。
苗木のうちは株もとにワラを敷くなどして霜を防ぎます。
また、必要がなければむやみに枝を切らない方がよいです。
病虫害が多いため、注意が必要です。
〔備考〕ミヤマザクラの仲間はサクラ属の中でもっとも原始的なグループと推定されています。