シンエイザクラ

サクラ属 シンエイザクラ
学名： Cerasus katonis

〔基本情報〕7mほどになる落葉高木。
一年目の枝は暗い紫褐色で多くの皮目があります。
若葉は赤みを帯びます。
葉は長さ6～9cm、幅3.5～5cmの倒卵形～倒卵状楕円形で、先端は尾状にとがり、基部は円形～くさび形です。
葉の表面は毛がまばらにはえるか、ほぼ無毛です。葉の裏面の脈上に毛がはえます。
葉柄は長さ1.7～2.5cmで白色の開出する軟毛が密にはえ、上部に2個の蜜腺があります。
葉の縁には先が腺で終わる単鋸歯があり、一部重鋸歯が混ざります。
葉の展開と同時に開花します。
花は葉腋につく散形花序に2～4個つき、白色ときに紅色を帯びる5弁花です。
花弁は長さ1.3cmほどで平らに開き、先端が浅く2裂するものが多いです。
花序には長さ5mm、幅3mmの広倒卵形の苞葉がつき、果期にも残ります。
苞葉の上端は細かく裂けます。
花柄は1～1.5cmで花後に伸長し、小花柄は1.5～2.2cmでともに白色の開出する軟毛が密にはえます。
萼筒は筒状、萼裂片は三角形で花時に平らに開きます。
果実は球形で黒紫色に熟します。
オオヤマザクラとは葉柄や花柄・小花柄に白い軟毛が密生する点、花が白色である点で区別できます。
ミヤマザクラとは散形花序である、葉柄や花柄・小花柄の毛が白色で開出する、花弁の基部が爪状にならない、鋸歯が欠刻状にならない点で区別できます。

〔来歴〕山形県上山市三吉山の山頂のみでみられるサクラです。発見当時はオオヤマザクラとミヤマザクラの雑種と推定されていましたが、のちに独立の種とされました。

〔栽培〕増殖は実生、挿し木、接ぎ木によります。
日当たりと水はけがよい場所を好みます。
庭植えで大木になって困る場合は、木の大きさをコントロールするため、布ポットで根が張るスペースを抑制するとよいです。
苗木のうちは株もとにワラを敷くなどして霜を防ぎます。
また、必要がなければむやみに枝を切らない方がよいです。
病虫害が多いため、注意が必要です。

〔備考〕シンエイザクラの学名と和名は山形県の植物相を調査した加藤信英に献名されたものです。