植物図鑑
フジキクザクラ
サクラ属
フジキクザクラ
学名:
Cerasus incisa var. incisaf. chrysantha
〔基本情報〕落葉小高木。
幹が基部から分岐して傘状の樹形となります。
樹皮は紫褐色で、不規則に浅く割れ、横に並ぶ皮目が点在します。
若芽は開花時にはかなり展開していて、赤褐色を帯びた黄緑色です。
葉は長さ1.5~4cm、幅1~2cmの倒卵形で、葉の先はとがり、基部は円形~鈍形となります。
葉の縁にはやや鋭い欠刻状の重鋸歯があります。
葉の両面に毛があります。
葉柄にはやや斜上する毛がはえ、蜜腺は葉の基部に2個つきます。
葉の展開と同時に開花します。
花は葉腋に出る散形花序に1~2個下向きにつき、淡紅色で、径3cmほどです。
1本の木に八重咲き、二段咲き、三段咲きの花が混ざって咲きます。
八重咲きの花は、花弁が約50個、雄しべは約100個、雌しべは約30個ほどあります。
二段咲きの花は、花弁が約150個、雄しべは約60個、雌しべは約20個ほどあります。
三段咲きの花は、花弁が約300~400個、雄しべは約150個、雌しべは約50個ほどあります。
花柱には毛があります。
最も外側の花弁がしばしば萼片化します。
萼筒は漏斗状鐘形、萼裂片は三角形~互角形で縁が不規則に切れ込んで縁毛があり、ときに副萼片があります。
花柄は5mm以下、小花柄は長さ2.5~3cmで、開出毛が密生します。
〔来歴〕高村鍬太郎によって1962年に静岡県天子ヶ岳で発見されました。
〔栽培〕増殖は挿し木、接ぎ木によります。
日当たりと水はけがよい場所を好みます。
庭植えで大木になって困る場合は、木の大きさをコントロールするため、布ポットで根が張るスペースを抑制するとよいです。
苗木のうちは株もとにワラを敷くなどして霜を防ぎます。
また、必要がなければむやみに枝を切らない方がよいです。
病虫害が多いため、注意が必要です。