植物図鑑
ベニバナヤマシャクヤク
ボタン属
ベニバナヤマシャクヤク
学名:
Paeonia obovata
〔基本情報〕
落葉樹林内でみられる高さ30~60cmの多年草。
径1cmにもなる太い根茎をもちます。
葉は互生し、葉柄を含めて長さ12~38cmになる2回3出複葉です。
頂小葉は長さ7~15cm、幅4~7cmの倒卵形で、全縁です。
茎の中部につく葉の葉柄は長さ8~10cm、上部につく葉の葉柄は長さ2~4cmです。
茎の中部には2~3個の葉がつき、茎の上部の葉はときに3裂します。
葉の裏面には伏した毛が密にはえるか無毛です。
枝の先端に大きな花を単生させます。
花は径7~10cmの5弁花で、上向きに半開します。
花色は濃い紅紫色~淡い紅紫色ですが、白色の花もあります。
雌しべは4~5個あり、柱頭は赤紫色を帯びて鉤状に著しく曲がります。
萼は果実期に反り返ります。
果実は長さ2.5~3.5cmで倒卵形の袋果で、熟すと割れて、種子が露出します。
種子は稔性があるものは球形で黒色~紺色、ないものは赤色です。
〔利用〕
根を薬用とします。
〔栽培〕
増殖は実生、株分けによります。
株分けは根茎に芽がついた状態で分けます。
実生の場合、発芽まで2~3年かかり、開花までは発芽後数年かかります。
半日陰で水はけ、水もち、通気性がよい土壌を好みます。
風通しがよく、年間を通して強い陽ざしや乾燥を避けられる場所で育てます。
地植えの場合は落葉樹の下が適します。
乾燥も多湿も嫌います。
水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。
肥料が不足すると花つきが悪くなるので、施肥は元肥のほか早春、開花後、秋に緩効性化成肥料を施します。
タネを採らない場合は、花後に花首から切ると株がつかれません。
病虫害としてはウイルス病、うどんこ病、テッポウムシ(カミキリムシの幼虫)、シンクイムシ、ヨトウムシなどがあります。