植物図鑑
シロバナカタクリ
カタクリ属
シロバナカタクリ
学名:
Erythronium japonicum f. leucanthum
〔基本情報〕落葉樹林内などでみられる高さ10~20cmの多年草。
カタクリの白花品種で、カタクリの大きな群生地内でごくまれにみられます。
周囲の木や草が茂る頃には、実を結んで地上部が枯れ、活動を終えるスプリング・エフェメラルです。
地下に長さ5~6cmで長楕円形の鱗茎をもちます。
鱗茎は根の牽引作用で地下深く(最大30cm)にもぐります。
発芽後、1年目の葉は糸状です。
その後、開花株となるまで楕円形の葉が1個だけ出ます。
花がつく株の葉は2個が根出します。
葉は長さ6~12cmの長楕円形~卵形で白っぽい斑紋があります。
葉には長い葉柄がありますが、柄の部分が地下に埋まっているため、葉の部分のみが地上に出ます。
花は鱗茎から伸びた花茎の先に単生し、うつむいて下向きに開きます。
花は白色の6弁花で、花被片は長さ4~5cmの披針形で強く反り返ります。
花被片の基部近くには蜜腺があり、ギフチョウが密を吸いに訪れます。
蜜腺の上部にはW字形の紫色の斑紋があり、蜜がある目印(蜜標)と考えられています。
雄しべは6個で、葯は淡い褐色です。
果実は蒴果で、果実の時期には花茎が30cmまで伸びて地面に倒れます。
種子にはアリが好む附属体(エライオソーム)があり、アリによって運ばれて散布されます。
〔栽培〕増殖は実生によりますが、開花まで7~8年かかります。
種子は6月に果実が熟したら採取し、とりまきとします。
分球する力が弱いので球根では増やせません。
冬から花の時期には日当たりがよく、葉が枯れ始めてからは明るい日陰になるような涼しい場所で管理します。
地植えの場合は落葉樹の下がよいです。
有機質が多く、水はけのよい土壌を好み、鱗茎が深く潜るので深鉢に植えます。
水やりは鉢植えでは、芽出しから葉のある時期は土の表面が乾いたらたっぷりと与え、落葉後は完全に乾かない程度に与えます。
地植えの場合は特に必要ありません。
施肥は秋に緩効性肥料を置き肥し、秋から葉が枯れるまで週1回、薄めた液肥を施します。
病虫害としてはさび病があります。