植物図鑑
ツガ
ツガ属
ツガ
学名:
Tsuga sieboldii
〔基本情報〕
山地の尾根や岩場でみられ、高さ25~30m、幹径1mにもなる常緑針葉高木。
樹皮は灰赤褐色で、深く縦に裂け、ふぞろいな亀甲状の鱗片にはがれます。
若い枝には毛はなく、光沢がある黄褐色です。
葉はらせん状に互生する単葉で、長さ10~20mm、幅1.5~2.5mmの線形で、表面には光沢があり、裏面に白色の気孔帯が2本あります。
葉には葉枕が発達しています。
葉は側枝では左右に開出してつきます。
花には雄花と雌花があり、雄花は前年出た枝の葉腋に1個つき、径4mmほどの球形です。
雌花は今年出た枝の先端につき、卵形で紫褐色です。
雌球花は年内の秋に褐色に熟して、長さ2.5cm、幅1~1.5cmほどで広卵形の球果となり、下向きにつきます。
球果の苞鱗片は種子鱗片より短いため、種子鱗片の合せ目から外に突き出すことはありません。
種子には翼があります。
コメツガに似ますが、ツガは標高1,600mぐらいまでに出現し、コメツガはふつう標高1,300~2,500mの山地帯上部から亜高山帯にかけて出現します。
また、コメツガは若い枝に短毛が生え、球果は長さ1.5~2cmほどとツガより小ぶりです。
〔利用〕
樹皮から採れるタンニンを魚網などの染料に用いました。
材は建築、船舶、楽器材とするほかパルプにも用いられます。
〔栽培〕
増殖は実生によりますが、挿木や取木も可能です。
発芽率は25~50%程度です。
日当たりと水はけ、風通しのよい土壌を好みます。
成木での移植は困難です。
水やりはやや乾き気味のほうがよく、鉢植えでは土の表面が乾いたらたっぷりと与え、地植えの場合は降雨にまかせます。
施肥は春~秋まで2か月に1回程度、緩効性化成肥料を施します。
病虫害としてはカイガラムシ、シンクイムシなどがあります。