植物図鑑
イヌカタヒバ
イワヒバ属
イヌカタヒバ
学名:
Selaginella moellendorffii
〔基本情報〕
林内の沢沿いの湿った岩上や樹幹でみられる常緑シダ。
岩上の泥や樹幹のコケの中を地下茎が這います。
地下茎は径1.2mmほどで、わら色の葉がまばらに密着するようにつき、ところどころで発根し、地下茎の先端はしだいに地上茎となります。
地上茎は3~4回羽状に分岐して、長さ12~25cm、幅5~10cmの広卵状三角形の葉身状となります。
葉身状の部分と葉柄のように見える部分はほぼ同じ長さです。
主茎には稜があり、無毛です。
主茎の基部にはわら色の葉がまばらに密着するようにつき、主茎の葉は同形で先がとがり、全縁です。
枝につく葉には、背面につく背葉と、枝の側面につく腹葉があり、ともに枝に2列につきます。
背葉は卵形で、先端が芒状にとがり、縁には膜があって白く見え、細かい鋸歯もあります。
腹葉は卵形で先端がとがり、縁には細かい鋸歯があります。
胞子嚢穂は長さ0.5~1.5cmの四角柱状で、小枝の先に1個つきます。
胞子葉は卵形で先が鋭くとがり、縁には膜と細かい鋸歯があります。
秋に秋に植物全体が赤褐色を帯び、枝先に無性芽(殖芽)をつけます。
〔来歴〕
沖縄に自生しますが、本州では栽培されていたものが逸出して人家の石垣などでみられます。
〔利用〕
中国では薬用として解熱・止血・利尿などに利用されます。
〔栽培〕
増殖は無性芽によります。
日向~半日陰で水はけ、水もちのよい場所を好みます。
強い直射日光や強風を嫌い、空中湿度の高い環境を好みます。
水やりは鉢植えの場合は春から秋は葉水を兼ねて与え、冬は乾かし気味に管理します。
地植えの場合は降雨にまかせます。
施肥は元肥を施せば特に必要ありません。
病虫害は特にありません。
〔備考〕
シダ植物としてはじめてゲノム解読に成功した植物です。