植物図鑑
ヒペリカム イノドルム
オトギリソウ属
ヒペリカム イノドルム
学名:
Hypericum ×inodorum
〔基本情報〕
高さ0.6~2mになる落葉または半常緑低木。
コボウズオトギリとHypericum hircinumの交雑種で、両者の中間的な性質をもちます。
基部からよく枝分かれして茂ります。
枝には稜があります。
葉は対生する単葉で、長さ3.5~11cmの広卵形~楕円状披針形となり、つぶすと芳香を放ちます。
葉の基部は円形~心形となり、しばしば茎を抱き、葉柄はないかあってもごく短いです。
花は枝先の集散花序に1~23個つき、径1.5~3cmほどの黄色の5弁花で、星形に開くかカップ状になります。
花弁は長さ0.8~1.5cmの倒披針形~狭倒卵形で萼片の1.5~2倍と明らかに長くなります。
雄しべは多数あり、5束に分かれ、長さは花弁の長さの1.2~1.3倍と花弁より長くなります。
萼片は0.5~1cmの楕円状披針形~広卵形となり、先端は鈍頭~丸みを帯び、全縁です。
萼片はふつう開花期から反曲しています。
果実は蒴果でまるく肥大し、コーラルピンク~鮮赤色に熟します。
園芸品種により姿や果実の色は異なります。
コボウズオトギリとよく似ており、おもに、花弁が萼や花柱より長い、雄しべが花弁より長い、萼はふつう花期・果実期とも反曲する、という点で区別します。
〔利用〕
果実期の枝を花材として利用します。
〔栽培〕
増殖は挿木、株分けによります。
日向~半日陰で風通しがよく、水はけ・水もちがよい肥沃な土壌を好み、強い乾燥を嫌います。
夏の直射日光や乾燥で葉焼けをおこすことがあるので、夏場は遮光するとよいです。
日当たりが悪すぎると花つきが悪くなります。
水やりは鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと与え、地植えの場合は夏の乾燥する時期には朝か夕方に水やりをし、それ以外は降雨にまかせます。
施肥は春と秋に緩効性化成肥料を置き肥します。
剪定をおこなう場合は冬におこないます。
病虫害としてはアザミウマ、アブラムシ、カイガラムシ、うどんこ病、さび病があります。
〔備考〕
当初コボウズオトギリの園芸品種として流通したものが、ヒペリカム イノドルムの園芸品種と変更されるなど混乱があります。