植物図鑑
アメリカフヨウ
フヨウ属
アメリカフヨウ
学名:
Hibiscus moscheutos
〔基本情報〕
湿地や河川沿いに自生する高さ1~1.8mになる多年草。
葉は互生する単葉で、長さ20cm、幅はその半分以下の卵形~広披針形でふつうは分裂しませんが、ごく浅く掌状に3~5裂することもあります。
葉の裏面には白色の軟毛がはえ、縁には鋸歯があります。
長い葉柄があります。
花は茎の上部の葉腋に単生し、径10~16cmで白~ピンク色の5弁花で、中心部が暗い紅色となるものもあります。
雄蕊筒は花外に突き出しません。
萼は長さ1.8~4cmで筒部と裂片がほぼ同長です。
小苞片は長さ1.5~2.5cmと萼より短く、線状披針形で、10~14個あります。
花は朝開いて夕方にはしぼむ1日花です。
果実は長さ2.2~3cmほどのほぼ球形の蒴果で、中に多数の種子があります。
種子は長さ2.3~2.8mmで無毛、多少ざらつきがあります。
〔栽培〕
増殖は実生と株分けによります。
発芽適温は25℃と高いです。
日当たりと水はけ、水もちがよい腐植質に富んだ湿潤な土壌を好みます。
湿り気のある場所に生育する植物なので極端に乾燥する場所は適しません。
冬は枯れた茎を地際で切り、盛り土や敷き藁をして防寒します。
水やりは鉢植えでは水切れを起こさないように注意し、春~秋は土の表面が乾いたら水を与えます。
冬期に株元に堆肥を施し、初夏に緩効性肥料の追肥を施します。
剪定は冬の落葉期におこないます。
冬期に落葉する地域では株元近くまで大きく切り戻しマルチングなどで防寒するとよいです。
病虫害としてはアブラムシやハマキムシがあります。
〔備考〕
日本でアメリカフヨウと呼ばれて流通しているものは本種にモミジアオイ(Hibiscus coccineus)やソコベニアオイ(H. militaris)を交配させた交雑品種群で、径20~30cmにもなる巨大な花をつけます。
また本種に直接由来する園芸品種もまとめて「アメリカフヨウ」と呼ばれることがあります。