植物図鑑
ヒュウガナツ
ミカン属
ヒュウガナツ
学名:
Citrus tamurana
〔基本情報〕果樹として栽培される常緑樹。
枝は密に出て、3~5mmほどの刺があります。
互生する葉は単葉のようですが、複葉が退化したもので、楕円形です。
狭い翼葉があります。
花は白色の5弁花です。
多数の雄しべが花糸の中部まで合生し雄ずい筒をつくります。
果実は球形~倒卵形、果重200gほど、淡い黄色に熟します。
果頂部が径2cmほどのドーナツ状にやや盛り上がります。
果皮は6mmほどと厚いですが、むきやすいです。
果肉はやわらかく多汁で、甘みも強く、香りがあります。
〔来歴〕宮崎県発祥で、1820年に宮崎県宮崎市の真方安太郎邸内で発見され、ユズの突然変異品と考えられています。
1887年(明治20年)に田村利親によってヒュウガナツミカン(日向夏蜜柑)と命名されました。
ニューサマーオレンジ、スモールサマーオレンジという名称も同氏によるものです。
〔利用〕フルーツとして食べるほかジュースなどにも加工されます。
また、白い内果皮も苦味や渋味がなく、香りがあるため、果肉とともに食べられます。
〔栽培〕増殖は接木によります。
日当たりと水はけ、水もちのよい場所を好みます。
幼木のうちは移植容易ですが、成木では困難です。
水やりは地植えの場合、晴天が続いて乾燥しないかぎりは必要ありませんが、幼木のうちは夏によく水を与えて枝をよく伸長させると生育が早くなります。
施肥は春と秋に有機質の肥料か速効性がある化成肥料を施します。
枝が繁りすぎて、樹冠の内部が日照不足となると枝が枯れます。
枯れ枝は病虫害の原因となり、実つきも悪くなることから、3月頃に適度に製枝・剪定し、内部まで日が当たるようにします。
実が多くついた場合は7~8月に摘果をおこないます。
果実が越冬中に寒害を受けやすいので、最低気温が-3度以下になる地域では果実を冬前に収穫したほうがよいです。
病虫害としてはミカンハモグリガ、カイガラムシ、ハダニ、アブラムシなどがあります。
アゲハチョウの食草です。