植物図鑑
ウイキョウ
ウイキョウ属
ウイキョウ
学名:
Foeniculum vulgare
〔基本情報〕高さ1~2mほどになる多年草。
茎や葉が灰緑色で、全草にアネトールを主成分とする芳香があります。
茎は中空です。
葉は互生する長さ30cmほどの3-4回羽状複葉で、裂片はさらに細かく裂けます。
葉柄の基部は茎を抱き、上部の葉の柄は鞘状になって若い花序を中に抱いています。
茎先に複散形花序を出し、小さな花を多数つけます。
花は黄色の5弁花です。
小花序は10~40個あり、花序の基部には総苞も小総苞もありません。
果実は長さ5~10mmほどの円柱形の分果で、灰褐色に熟し、独特な香りがあります。
〔来歴〕日本には平安時代に渡来していて『和名類聚抄』にその名があります。江戸時代には栽培されていたとされます。
〔利用〕茎や葉、果実を香辛料として用います。
とりわけ魚料理の臭みを消すのに多用されるハーブですが、葉はサラダとして生食されたり、パセリのような使い方もされます。
果実はパンやビスケット、あるいはソ-セージや詰め物料理の香料としても使われます。
薬用としての効能(利尿、健胃、駆風、乳汁促進、緊張緩和、消炎)もあり、果実は芳香健胃薬として利用されてきました。
インドなどでは食後に芳香健胃のためウイキョウの果実を食べる習慣があります。
精油(ウイキョウ油)は、食品やリキュールの香りづけ、また歯磨き剤や石鹸にも用いられるとのことです。
〔栽培〕増殖は株分けと実生によります。
日当たりと水はけがよく肥沃な土壌を好みます。やや乾き気味のほうがよいです。
草丈が高くなってきたら倒れないよう支柱を立てます。
直根性のため植え替えを嫌います。
通気と株の内部まで日光を届かせるため、茎や葉が茂ってきた場合は茎を間引きます。
トマトやコリアンダー(パクチー)、マメ類との相性が悪く、生長を阻害するので、近くには植えないようにします。
病害虫としてはカメムシがあります。