植物図鑑
ヤブレガサ
ヤブレガサ属
ヤブレガサ
学名:
Syneilesis palmata
〔基本情報〕林内でみられる高さ70~120cmの多年草。
茎は直立して、はじめ絹毛がはえますが、のちに無毛になります。
若い個体では根出葉を1枚出すのみで、成熟すると花茎を出します。
葉には根出葉と茎葉があり、根出葉は開花時にも残ります。
葉は芽出しの時は、密にくも毛がはえ、傘をすぼめたような形であらわれ、展開後は無毛となります。
茎につく葉は2~3枚が互生します。
茎の下部につく葉は径35~40cmの円形で、掌状に7~9裂し、各裂片はしばしば2裂します。
葉の縁には不揃いな鋸歯があります。
葉柄は楯状につき、長さ7~15cmで、基部は葉鞘となって茎を抱きます。
九州産の個体では茎につく葉の腋にむかごがつきます。
茎先に径0.8~1cmの頭花を円錐状につけます。
頭花は7~13個の筒状花のみからなり、白色~淡紅色です。
果実は痩果で冠毛があります。
〔利用〕根茎を薬用とするほか、新芽を山菜として利用します。
〔栽培〕増殖は実生、株分け、根伏せによります。
植え替えは芽が動き出す前に終えておきます。
半日陰で水はけのよい土壌を好みます。
地植えの場合は落葉樹の下に植えるとよいです。
強い風が吹く場所は避けます。
水やりは鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと与え、地植えの場合は夏に晴天が続いてひどく乾燥しないかぎりは降雨にまかせます。
肥料はリン酸・カリ分が多めの肥料を元肥としてほどこすほか、春~秋に2週に1回、2000倍に薄めた液肥を与えます。
液肥は梅雨前まではチッ素分が多いもの、梅雨以降はリン酸・カリ分が多いものを使用し、真夏は2000倍より薄めにします。
病虫害としてはうどんこ病、ハモグリバエなどがあります。
〔備考〕名は若い芽の形を「破れ傘」に例えたものです。