植物図鑑
ネモトシャクナゲ
ツツジ属
ネモトシャクナゲ
学名:
Rhododendron brachycarpum var. brachycarpumf. nemotoanum
〔基本情報〕
ハクサンシャクナゲの八重咲品種で、東北地方から栃木県男体山までの限られた場所でみられる常緑低木。
葉は互生する単葉で枝先に集まってつき、長楕円形で質が厚く、葉の基部はまるいか浅い心形となります。
枝先に短い総状花序を出し、5~15個の花が集まって咲きます。
花は八重咲きとなり、径3~4cmで白~淡いピンク色の漏斗状鐘形、花冠の上側内面に緑色の斑点があります。
八重弁は雄しべが変化したもので、八重咲の程度には変異があります。
〔来歴〕
1903年(明治36年)に、福島師範学校(現在の福島大学)で助手をしていた中原源治によって福島県の吾妻山で発見されました。
和名と品種小名は福島師範学校教諭・根本莞爾への献名です。
吾妻山の自生地が国の天然記念物に、安達太良山の自生地が福島県の天然記念物に指定されています。
〔栽培〕
増殖は挿木、接木によります。
水はけと風通しのよい肥沃な酸性土壌を好みます。
乾燥する場所は避けるかマルチングなどをして株元の乾燥を防ぎます。
春~秋までは西日や夏の直射日光が当たらない半日陰、秋~春は寒風を避けられる日向に置くのがよく、地植えの場合は落葉樹の陰になるような場所がよいです。
水やりは鉢植えの場合、秋~春は土の表面が乾いたらたっぷりと与え、真夏は気温が低い朝と夕方の2回葉にもかかるように与えます。
地植えの場合は夏以外は降雨にまかせますが、夏は気温が低い朝もしくは夕方に葉にもかかるように与え、冬は乾燥が続くようであれば暖かい日の午前中に水やりをします。
施肥は寒肥、花後のお礼肥、秋の計3回、有機質の肥料か3成分等量の緩効性化成肥料を株の周りに施します。
剪定は行わず、春~初夏に芽かきを行うことで樹形を整えます。
花がらはこまめに摘みます。
病虫害としては根腐病、灰色かび病、褐斑病、花腐菌核病、ペスタロチア病、アブラムシ、カイガラムシ、ハマキムシ、ヨトウムシ、シンクイムシなどがあります。
〔備考〕
福島県の県花となっています。