植物図鑑
ワサビ
ワサビ属
ワサビ
学名:
Eutrema japonicum
〔基本情報〕深山の澄んだ渓流のそばや谷沿い斜面の湿地にはえる高さ20~40cmほどの多年草。
全体に特有の辛みがあります。
多くの節がある円柱形の太い根茎をもちます。
茎は直立して葉を数個つけるほか、基部に根出葉があります。
葉は根出するか互生する単葉で、表面に光沢があり、径6~12cmの基部が心形になる円形です。
葉の縁には波状の鋸歯があります。
茎の先端に短い総状花序を出します。
花は白色の4弁で、花弁は長さ6mmほどの長倒卵形です。
果実は長さ1.5~1.7cmの数珠状にくびれる長角果で、種子は長さ3.5mmほどの長楕円形です。
〔利用〕肥大した根茎を香辛料として利用し、静岡県や長野県などで栽培されます。
葉や茎、花も食用にされます。
根茎には防腐・殺菌効果のあることが知られています。
薬用にもされます。
〔来歴〕飛鳥時代の木簡に「委佐俾三升」としてあらわれ、奈良時代には薬用として利用されていたと考えられています。
現在のように薬味として利用されるようになったのは室町時代とされます。
江戸時代初期には現在の静岡県静岡市有東木地区で栽培がはじまったと伝えられています。当初は門外不出の扱いでしたが、徐々に栽培が拡大していきました。
〔栽培〕増殖は実生、株分けによります。
澄んだ水が流れる浅瀬で栽培する「水ワサビ」と畑で栽培する「畑ワサビ」の2種類の栽培方法があります。
耐暑性が弱く冷涼な環境を好みます。
生育適温は水温15~16℃、気温8~20℃程度で、夏は直射日光が当たらない半日陰になり、冬は日が当たるようにします。
畑で栽培する方が容易ですが、水の貯められるタイプのプランターを利用し、こまめに水替えをすることで「水ワサビ」として栽培することも可能です。
病害虫としては軟腐病やアオムシなどがあります。