植物図鑑
トチノキ
トチノキ属
トチノキ
学名:
Aesculus turbinata
〔基本情報〕山地の沢筋や谷沿いの肥沃な場所でみられる高さ20~30m、径1mにもなる落葉高木。
樹皮は大きく割れてはがれ落ちます。
枝には環状の芽鱗痕と倒卵形の葉痕がめだちます。
葉は枝先に集まる傾向があり、対生する掌状複葉です。
小葉は5~9枚あり、中央の小葉が最大で長さ30cm、幅12cmにもなります。
葉の縁には細かい鋸歯があり、側脈は20~30対がほぼ平行に並びます。
葉柄は長さ5~25cmです。
冬芽は大きく、粘つきます。
長さ15~25cm、径5~10cmで円錐形の複総状花序を直立させ、多数の花をつけます。
花は横向きに咲き、径1.5cmほどで花弁は4個あり、白色で基部に淡い紅色の模様があります。
雄しべは7本あり、長さ1.5~2cmで花弁より長く、上向きに反ります。
果実は径3~5cmで球状の蒴果で、表面にはこぶ状の突起があります。
種子は1~2個あり、栗のような見た目をしています。
〔来歴〕縄文時代の遺跡からも種子が出土していて、食用の歴史は古いです。
飢饉の際の救荒作物として重宝されたため、伐採や枯損を禁じた地域もあります。
〔利用〕種子を「栃の実」として渋抜きし、栃餅などに加工し食用にします。
材は木目が美しく、建築用材や装飾材として用いられます。
樹皮はなめし皮の製造や薬用にされます。
蜜源植物としても重要です。
〔栽培〕増殖は実生、接木によります。
種子は乾燥すると発芽率が落ちるので、取播きにします。
実生では成木になるまで30年かかります。
大きくなりスペースをとるので、広い場所が必要です。
冷涼で適潤の土地を好み、日当たりがよく湿り気のある肥沃な土壌を好みます。
乾燥と夏の強い西日を嫌います。
水やりは水切れしない程度に与えます。
施肥は冬期と果実がつき始める時期に堆肥を株元に与えます。
土壌や空気の乾燥する暖地や都会では葉先が傷むので注意が必要です。
また、葉が大きく薄いので、潮風や強風でも傷みやすいです。
成木での移植は避けます。
剪定は特に必要ありませんが、気になるようなら邪魔な枝を間引く程度にします。
病虫害は特にありません。