夏を告げる大輪の黄花
— ヒペリクム'ヒドコート'(タイリンキンシバイ)—
5月から7月にかけて、径7〜8cmの鮮やかな黄色い花を枝先いっぱいに咲かせる半常緑低木——ヒペリクム'ヒドコート'です。「タイリンキンシバイ(大輪金糸梅)」の別名でも広く親しまれ、生垣や花壇、公園の植え込みでもよく見かけます。オトギリソウ科オトギリソウ属の園芸品種で、セイヨウキンシバイを片親とする交雑によってうまれました。
「タイリンキンシバイ」とも呼ばれる
エバーグリーンのQ&Aでも、この植物の名前についての回答が多く寄せられています。専門家の方は一貫してこの名を断定しています。
オトギリソウの仲間の園芸品種、ヒペリクム'ヒドコート'です。タイリンキンシバイ(大輪金糸梅)ともよばれますよ。 — エバーグリーンQ&A 専門家回答(2017年6月、質問#534)
ヒペリクム'ヒドコート'ですね。タイリンキンシバイともよばれます。 — エバーグリーンQ&A 専門家回答(2018年6月、質問#3358)
「タイリンキンシバイ」という別名は、近縁のキンシバイよりも花が大きいことに由来すると考えられます。エバーグリーン図鑑のデータによれば、キンシバイの花径については特段の記載がありませんが、ヒペリクム'ヒドコート'の花径は径7〜8cmと登録されており、存在感のある大輪です。
花の特徴——径7〜8cm、多数の雄しべ、橙色の葯
図鑑によれば、花は枝先にふつう単生し、径7〜8cmの黄色い5弁花で、多数の黄色い雄しべが放射状に広がります。花は平らに開き、葯(かやく)は橙色を帯びます。黄一色に見えながら、よく見ると葯の橙色が花の中心にアクセントを添えています。
葉は十字対生する単葉で、長さ3〜6cmの三角状披針形。腺点があり、葉の縁は全縁です。枝はしばしば赤みを帯び、高さ1mほどの半常緑低木に育ちます。
ビヨウヤナギとの見分け方
黄色の大輪花をつける近縁種として、ビヨウヤナギを挙げる声も多くあります。Q&Aでは、専門家の方が両者の違いを明快に示しています。
ヒペリクム'ヒドコート'です。タイリンキンシバイともよばれますね。ビヨウヤナギは雄しべが長く、花びらも細いです。 — エバーグリーンQ&A 専門家回答(2018年8月、質問#4286)
図鑑の登録情報と照らし合わせると、ヒペリクム'ヒドコート'の花は平らに開く5弁花で多数の雄しべが広がりますが、雄しべの長さは花弁より目立って長くはありません。ビヨウヤナギとの見分けには、雄しべの長さと花弁の幅を確認するとよいでしょう。
同属の植物との比較
エバーグリーン図鑑に登録されたオトギリソウ属の植物と、ヒペリクム'ヒドコート'のデータを並べてみます。
- ヒペリクム'ヒドコート':樹高1000mm、花色=黄、花咲く季節=5・6・7月、用途=鉢植・生垣・花壇・公園庭園・コンテナ
- キンシバイ:草丈300〜1500mm、花色=黄、花咲く季節=5・6・7月、用途=鉢植・生垣・公園庭園・コンテナ
- セイヨウキンシバイ:ヒペリクム'ヒドコート'の片親、本品の名前の由来
- ビヨウヤナギ:同属の近縁種、雄しべが長く花弁が細いことで見分ける
- オトギリソウ:草丈300〜800mm、花色=黄、花咲く季節=7・8月、用途=登録なし
- アゼオトギリ:草丈100〜400mm、花色=黄、花咲く季節=7・8月、用途=登録なし
- イワオトギリ:草丈100〜200mm、花色=黄、花咲く季節=7・8月、用途=登録なし
同属の野生種(オトギリソウ・アゼオトギリ・イワオトギリ)は草丈が低く、花咲く季節も夏(7〜8月)が中心です。一方でヒペリクム'ヒドコート'は樹高1mほどになる低木で、5月から7月と早い時期から花を咲かせ、園芸用途(鉢植・生垣・花壇など)も幅広く登録されています。同じ黄花の園芸種であるキンシバイとは開花時期がほぼ重なりますが、ヒペリクム'ヒドコート'は図鑑の来歴欄でキンシバイ(セイヨウキンシバイ)を片親とする交雑品種と記されています。
栽培のポイント
図鑑の栽培欄には以下の要点が登録されています。
置き場所:日当たりと水はけ、水もちがよい場所を好み、乾燥を嫌います。夏の直射日光や乾燥で葉焼けを起こすことがあるため、半日陰で育てても構いません。
広がり方に注意:地下茎をのばして広がる性質があります。増殖しすぎないようにするには、地下に枠をつくるか、大きめの植木鉢に植えてから地面に埋める方法が有効です。
水やり:鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。地植えの場合は夏に晴天が続いてひどく乾燥しないかぎり降雨にまかせます。
施肥:春と秋に緩効性化成肥料を置き肥します。
剪定:おこなう場合は3〜4月が適期です。
増殖:挿木または株分けによります。
病虫害:特にありません。
Q&Aから——見かけたらこの名前
エバーグリーンのQ&Aには、「庭や公園で見かけた黄色い花の低木」としてこの植物が投稿されるケースが度々あります。専門家の方の回答をいくつか紹介します。
タイリンキンシバイ(ヒペリクム'ヒドコート')ですね~ — エバーグリーンQ&A 専門家回答(2021年6月、質問#20408)
タイリンキンシバイ、ヒペリクム'ヒドコート'です。 — エバーグリーンQ&A 専門家回答(2023年5月、質問#23956)
「ヒペリクム'ヒドコート'」という品種名と「タイリンキンシバイ」という和名、どちらで呼ばれていても同じ植物を指しています。5〜7月に径7〜8cmの黄花が枝先に咲いていれば、まずこの名前を思い浮かべてみてください。
→ 図鑑で「ヒペリクム'ヒドコート'」の詳細を見る
https://love-evergreen.com/zukan/plant/16144.html