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名前は「ペルー」、原産は地中海
—ピラミッド型に40〜100個の花、シラー ペルビアナ—

ゴールデンウィーク前後の散策路で、ピラミッド型に青紫の星を散らしたような花穂を見かけたら——「シラー ペルビアナ」かもしれません。学名 Scilla peruviana。和名は「オオツルボ(大蔓穂)」。5月から6月にかけて花を咲かせる、地中海沿岸地域原産の多年草です。

シラー ペルビアナの花
シラー ペルビアナ Scilla peruviana / 写真: エバーグリーン植物図鑑

名前はペルー、原産地は地中海

学名のうしろの「peruviana」は「ペルーの」という意味。英名にも Portuguese squill, hyacinth of Peru, Cuban lily, Peruvian scilla と、図鑑には4つの呼び名が並びます。半分はペルー由来、半分はポルトガル・キューバ由来。ところが図鑑の「分布または原産地」欄に書かれているのは 地中海沿岸地域。名前と出身地が噛み合わない、すこし不思議な植物です。

日本ではカタカナの「シラー ペルビアナ」で出回っていますが、和名は「オオツルボ(大蔓穂)」。Q&Aでも、専門家の方がこの呼び分けについてふれていました。

シラー ペルビアナです~ / オオツルボという和名もありますが、↑の名前で売られています。 — エバーグリーンQ&A 専門家回答(2021年4月、質問#19501

市場ではシラー ペルビアナ、図鑑や植物名簿ではオオツルボ。同じ植物を指す名前が、文脈で使い分けられています。

ピラミッド型の花序に、40〜100個の星形の花

シラー ペルビアナは、地下に径6〜8cmの洋ナシ形の鱗茎をもつ高さ20〜50cmの多年草。葉は多数根生し、長さ15〜30cm、幅1.6〜2cmの広線形で全縁。葉の中心部から太い花茎を出し、その先端にピラミッド状の総状花序をつけ、40〜100個の花が並びます。

花は径1〜2cmで星形に開く青紫色の6弁花。図鑑には、白色や紅色を帯びるものもあると登録されています。6本の太い雄しべと黄色い葯がめだち、苞は線形。夏には葉が枯れて休眠に入り、果実は蒴果です。

同じオオツルボ属の「シベリアツルボ」と並べてみると

シラー ペルビアナはオオツルボ属(Scilla)に分類されます。エバーグリーン図鑑のオオツルボ属には、もう一種「シベリアツルボ」が登録されています。図鑑データを並べてみると、二種は同じ属でもずいぶん違う表情をしています。

シベリアツルボは草丈10〜20cmの早春の青、シラー ペルビアナは草丈20〜50cmの初夏の青紫。シラー ペルビアナの図鑑登録には「切花」が用途として加わっており、シベリアツルボの登録にはありません。同じオオツルボ属でも、図鑑に書かれているこの二種にはこれだけの違いがあります。

「とても丈夫でよく増えます」

シラー ペルビアナの育て方は、図鑑の登録によると、日当たりと水はけ・水もち・通気性のよい土壌を好み、多少の日陰なら耐えます。増殖は実生または分球。病虫害は特になく、数年は植えっぱなしでも大丈夫だと書かれています。

Q&Aでも、専門家の方が育てやすさにふれていました。

シラー・ペルヴィアナです。とても丈夫でよく増えます。 — エバーグリーンQ&A 専門家回答(2017年5月、質問#438

図鑑データに「種苗の入手難易度: 低」「種苗の入手形態: 球根、苗」と登録されていることもあって、初心者でも手にしやすい球根植物です。なお、図鑑には鱗茎は有毒であると同時に薬用にされる、と記載されています。

5月、6月、地中海から来た青紫

植え付けは9〜11月、花咲く季節は5月と6月。連休のお散歩で、ピラミッド型に並ぶ青紫の星型の花を見かけたら、ちょっと立ち止まって40〜100個の花数を眺めてみてください。地中海沿岸からやってきた、名前と出身地のすれ違いが面白い多年草です。

出典・参考

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