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奄美では「テーチ木」
—大島紬を染めるシャリンバイ、白い5弁花の季節—

4月から6月、海岸近くや街路樹で、車輪のように広がる枝に白い5弁花を咲かせる常緑低木——「シャリンバイ(車輪梅)」です。学名 Rhaphiolepsis indica var. umbellata、バラ科シャリンバイ属。地元・奄美大島では「テーチ木」と呼ばれ、本場奄美大島紬の褐色染料として使われている植物でもあります。

シャリンバイ(車輪梅)の花
シャリンバイ Rhaphiolepsis indica var. umbellata / 写真: エバーグリーン植物図鑑

車輪のように広がる枝、白い5弁花

シャリンバイは海岸近くにはえる高さ1〜4mの常緑低木。幹は基部からよく枝分かれし、株立ち状になり、枝が車輪状に出るのが「車輪梅」という名前の由来です。葉は互生する単葉で、長さ4〜10cm、幅2〜5cmの楕円形〜卵形。革質で光沢があり、先端はまるくなります。葉の縁は全縁またはまばら鋸歯、やや外側に巻きます。

枝先に長さ5〜15cmの円錐花序または総状花序を直立させ、径1.5〜2cmの白い5弁花を多数つけます。花序の軸や萼には褐色の毛がはえます。果実は径0.7〜1.2cmの球形のナシ状果で、10月から12月に黒紫色に熟し、表面には白い粉をかぶります。

奄美では「テーチ木」、大島紬の褐色染料

シャリンバイは観賞用としてだけの植物ではありません。エバーグリーン図鑑の「利用」欄には「樹皮や材は大島紬の褐色染料にされます」とはっきり登録されています。

地元の本場奄美大島紬協同組合(明治34年・1901年創立)が公開する「歴史」[1]には、奄美の絹織物の起源について次のような記述があります。本土と同じ古代染色の技法で「奄美に自生するテーチ木やその他の草木を使って」染色が行われ、これが「現在の本場奄美大島紬の、テーチ木と泥による染色のルーツ」とされている、というものです[1]

同じページによると、奄美大島独特の泥染めが定着し始めたのは1870年代[1]。それから約100年を経た1975年(昭和50年)、大島紬は国の伝統的工芸品に指定されました[1]。海辺の常緑低木が、伝統工芸品の染料として連綿と使われてきた、という構図です。

テーチ木染めの工程

大島紬の染色には複数の工程がありますが、シャリンバイが直接活躍するのが「テーチ木染め」とよばれる工程です。組合公式ページの説明[2]を引いておきます。

テーチ木(和名:車輪梅)をチップにして釜で煎じた液で絹糸を染める作業です。何度も液を替え、繰り返し揉みこみ染色すると、絹糸が赤茶色に染まります。 — 本場奄美大島紬協同組合「製造工程:⑤テーチ木染め」[2]

テーチ木の樹皮や材を細かなチップにして、釜で煎じる。その煎液に絹糸を浸す。一度では染まりきらず、液を替えながら何度も揉みこむ——シャリンバイの染色は、長い時間と手数の積み重ねの上に立っています。

シャリンバイ・マルバシャリンバイ・ヒメシャリンバイの境い目

シャリンバイには、葉の形や樹姿の違いから「マルバシャリンバイ」「タチシャリンバイ」「アツバシャリンバイ」「ヒメシャリンバイ」「ベニバナシャリンバイ」など、いくつかの呼び名が使われます。これらをどう扱うか、Q&Aで専門家の方が見解を示していました。

マルバシャリンバイですね~。最近は分けずに、シャリンバイのバリエーション扱いになっています。 — エバーグリーンQ&A 専門家回答(2021年6月、質問#20446

厳密に区別しすぎず、「シャリンバイのバリエーション」としてざっくり捉えるのが、現在の現場の見方のようです。

海岸でも、街路でも、生垣でも

シャリンバイの強みは、図鑑データでも明確です。耐候性として登録されているのは 耐暑性・耐乾性・耐潮性・耐排ガス性 の4項目すべて。用途適性は 盆栽、鉢植、生垣、花壇、公園・庭園、街路樹、壁面緑化、コンテナ の8項目に及びます。海風と乾燥と排気ガスに強い常緑低木——という性格が、街路樹・公園・生垣に重宝されてきた理由でしょう。

Q&Aの専門家回答にも、こんな観察があります。

シャリンバイです~。最近は枝もので出回っていますね^^ — エバーグリーンQ&A 専門家回答(2017年10月、質問#1361

図鑑の用途適性に「切花」は登録されていませんが、市場では枝物として扱われることもある、という現場感が拾えます。

4月から6月、白い花の季節

分布は本州の宮城県・山形県以西、四国、九州、琉球、小笠原。朝鮮、中国、台湾、フィリピン、カリマンタン(旧ボルネオ)にも自生します。花咲く季節は4月、5月、6月。連休のお散歩で、白い5弁花が車輪状の枝先に咲くのを見つけたら——遠く奄美大島で、絹糸を赤茶色に染めている同じ植物のことを、少し思い出してみてもいいかもしれません。

出典・参考

外部参照

  1. 本場奄美大島紬協同組合「歴史」 https://amamioshimatsumugi.jp/history/
  2. 本場奄美大島紬協同組合「製造工程:⑤テーチ木染め」 https://amamioshimatsumugi.jp/fabrication-process/teichigi-dyeing/

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